「カメラを止めるな」をビジネス視点で見てみる

こだま
こんにちは、元鉄道員の起業家こだまです。

昨日、今年の映画界の話題を総なめにした「カメラを止めるな」を見ることができました。 

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ネタバレ不可避のため「面白いから絶対見て!」としかいいようがない(笑)

  
生涯映画を10本くらいしか見たことのない自分が、面白いと思うのだから間違いないです!

 
もうほとんどの映画館で上映終了間近ということで、夕方の帰宅ラッシュの中、イオンモールまで車を走らせて行った甲斐がありました。

 
時間が時間だけに客席がガラガラなのはわかったのですが、終幕後、劇場が明るくなると、

お客さんは僕と妻ともうひとり、たったの3人だったみたいで、笑いを押し殺す必要はなかったと後悔。

 

爆笑しとけばよかった^^

 

普段、映画を見ない自分が見ることになったのは、ビジネスの勉強になるからと勧められたから。

見る人によっていろいろな視点、観点で論じることができると思います。

  

また、脚本や構成のギミックに目が行きがちだけど、それぞれのキャラクターにも個性、

役割が与えられていて、物語は割と短い中、人間ドラマもしっかり描かれていますね。
 

僕が映画を見ないのは、フィクションは娯楽としては楽しいけど、特に学ぶものがないから、という理由からです。

 

しかし、僕の先生いわく、物語には「人生の雛形」とも言うべき、普遍的な価値観、

人生観が含まれていて、それを学ぶことは、ビジネスにも通じるとのこと。

 

言われていることはちょっと難しいのですが、平たく言うと、

フィクションであっても人間の成長などを通して、

生き方、働き方といった人生観を学べるということです。

 

僕はそういうのは本から学ぶものという決めつけがあって、映画を見るのを避けていました。

長い映画だと2時間半とか、それ以上あるので、その間じっとして

映画を集中して見るというのがきつい、という子供みたいな理由もあります(笑)

 
まあ、とにかく面白かったのですが、ネタバレを含まず面白さや僕の解釈を伝えることは難しいので、

ここから先はネタバレを含んだ感想を述べます。

 
映画を見たことがない人は、この先を読まないことを「強く」推奨します!

 
なお、劇場公開は終了間近らしいですが、DVD、Blue-rayが12月に発売されるそうです!

ぜひ、何らかの方法でご覧ください。

 

 

ここからネタバレ含みます

  

 

さて、この映画はゾンビ映画を撮影している模様の映画でした。

(正確に言うと、撮影していたのは映画でなく番組なので、

以下、映画内で撮影している映画を、単に「番組」と書きます。)

 

ゾンビ番組を撮影中に本物のゾンビが出現し、監督はカメラをまわし始めます。
 

そんな中、序盤から違和感のあるシーンがたびたび登場します。

僕が最初に思ったのは、女性メイクさんの演技が、まあひどい(笑

 
なんか、大根(役者)っぽいんですよね。

 
この映画の演者はすべて無名役者なので、本当にこのレベルの映画なのか、

はたまた、メイクさんが下手な女優であることを演じているのか、ちょっと悩みました。

 
演技が下手すぎると怒鳴り散らした監督が出ていった後、

男優、女優、メイクさんの3人がほっとするシーン。

何か会話がぎこちない。

唐突の趣味の話、そしてメイクさんの趣味が護身術だということ。

なんか妙な間。

 

序盤の序盤からこんな感じで、違和感ばかり。

 

極めつけは監督役のセリフ、

「カメラを止めるなぁっ!!」

 

これは、映画のタイトルでもあるから、大事なセリフなんですが、

監督、まさかのカメラ目線(笑)

 

監督も番組内の監督役であるので、カメラ目線は絶対にしちゃいけないんです。

「そのセリフ、一体誰に言ってんだ?」ってなります。

 

映画内の映画の主人公(ややこしい)は女の子です。

無造作に置いてある斧を拾うとき、こう言います。

 
「ついてるわ、斧だ。」
 

やっすいRPGかよ、と突っ込みたくなるわざとらしいセリフ(笑)

 
しかも、ここって撮影現場という設定だから、本物の斧があるのはちょっとおかしいんですよね。

映画の小道具としての斧じゃないといけないんですが、

ラストまでゾンビを倒すためのガチの斧として機能します(笑)

 
本物のゾンビが現れてからは、監督はあまり写りませんが、

女の子のガチで怯える顔を撮影しようとして、女の子とゾンビを追いかけて行きます。

 

しかし、なぜか監督がゾンビに襲われるようなシーンはありません^^;

 

これもおかしい。
 

結局、女の子はゾンビ化した俳優と監督までも斧で殺してしまうところで終幕します。

 

ここまで見た僕は、

「まあ、なんとかストーリーは終わった。しかし、これで終わり・・・ じゃないよね?」

となりました。映画があまりにも短いからです。

(ショートムービーと言わればそれまでですが)

 

その疑いは正しく、後半からが本番となります。

 

後半は撮影の舞台裏という体で描かれますが、上に述べた違和感が

すべて撮影中のトラブルに起因するということが明かされます。

 

そうだったのか、とモヤモヤの伏線がすべて回収される感じですね

 
 
ああ、だからメイクさん(監督の嫁)は大根だったのか!とか。

趣味が護身術(ポンっ!!)だというのは、メイク役の女性のアドリブで出たセリフだったのか!とか。

 

 

観測者によって事実は異なって受け止められる

  

さて、前置きが長くなりましたが、ここからが僕の感想です。

この撮影(映画中の映画)はたくさんのトラブルに見舞われたけれど、

みんなの力を合わせて何とかラストまで持っていくことができました。

 

かなりのアドリブも含まれており、台本の本来の内容からすると、相当グダグダだったはずです。

 

理想状態からすると、全然うまく行ってはいない。

 

しかし、こけしのような女性プロデューサーは、

「まあ、何とかなったな!よっしゃ、飲みに行くか!」みたいな感じで、

うまく行ったと捉えているわけです。

 

つまり、放送上、大きな問題なかったからOKと。

僕らは映画としてこれを見ているので、細かい問題も目に付きますが、

映画の中ではゾンビチャンネル開局記念の生放送番組という設定です。

なので、なんか変なシーンはあるけど、いちおう番組としては成立している、

という風にも見れます。

 
映画のを見るように真剣ではなく、家でだら~っとこの番組を見ていたら、

まあ安っぽいけど面白かったな、くらいに感じるかもしれません。

 

僕が感じたのは、同じ番組でも、視聴者側と演者側の見え方はまったく異なるということです。

 
例えば、飲食店でコース料理を提供する際、シェフが

「おいっ、料理に使うピーマンがないじゃねーーか!!

買いに行く暇もないし、これじゃコース料理が成立しねーよ!!」

というトラブルがあったとして、

「シシトウがあるので、これで代用できるませんか??」

みたいな状況を思い浮かべました。

 

お店側からすると、あり合わせの食材で作るのは苦肉の策ですが、

お客さんはコースにピーマンが入っているということを事前に知らなければ、

普通においしいコース料理だったねと普通に感じるかもしれません

 

ビジネスには、そうしたアドリブ力(りょく)って、必要なんじゃないかなと思います。

 

この料理店の例で、こんなことを言われたらどうでしょう。

 

 

「大変申し訳ございません。今日は使用する予定だったピーマンがないので、

コース料理がご提供できません、お引取りください。」

 

実際には、まずないとは思いますが、真にクオリティを追求する店なら、

ないこともないと思うのです。

 

仕事をしていると、完璧さを捨ててでも、目標を目指さなければならない時があります。

僕は後半を見て、どんな会社、ビジネスでもこういうことってあるよね、と思いました。

 

どんなに完璧に準備をしていても、致命的なトラブルが出たりするものです。

そこで、諦めてしまったら終わっちゃうわけで、これをどのように取りつくろうか、

というのが真のチームワーク、組織力として形に現れるんじゃないかなと思います。

 

番組のラスト付近、女の子の恋人がゾンビ化してしまい、女の子に襲いかかろうとするところを

「お願い、止めて!」と懇願するシーンがあります。

 

想定外な事がおこるからこそ物語は進化する

 
 
本来なら、このセリフが1回で済むはずが、彼が3回襲いかかろうとして、

3回「お願い、止めて!」と繰り返す変なシーンになっています。

 
これは、トラブルをつなぐ時間稼ぎのために起こったわけですが、

僕は「ひっとしたら彼は人間の心を取り戻すんじゃないか?」と思いました。

 

3回も同じセリフのやり取りがあったからです。

もし、これが1回で終わっていたら、そのような疑念を挟む余地がありません。

3回もやりとりがあったからこそ、

 

ひょっとしたら彼は人間に戻るかも → やはりゾンビになってしまったと女の子は諦めがつき、斧を振り抜

という、よくできたシーンになったと思います。

つまり、トラブルのせいで、結果的に功を奏したわけです。

まさに「災い転じて福と成す」ですね。

 

もちろん、3回も同じセリフ、同じ芝居というのは違和感があるんですが、

この「違和感」って結構いいスパイスになっていると思うんですよ

この番組は「ゾンビもの」「ホラー」というジャンルです。

違和感があるからこそ、それぞれのキャラクターが何を考えているかわからない、

奇妙な狂気が、偶然ではありますが、生まれています。

 

メイクさん役である監督の嫁は、役に入り込みすぎて狂気に満ちた顔になり、

序盤で僕は、彼女もゾンビ化してしまったのかなと疑いました。

 
敵か味方かわからない、奇妙な怖さが出ていたのです。

役に入り込みすぎるというのはNGだし、違和感なんですが、

違和感があるからもっと怖くなっている、

つまり、トラブルやアドリブがあった方が、予定していた台本より

もっと面白くなっているんですね。

 
そういったトラブルも、アドリブでもって乗り越えて面白くなるって、なんだか人生と似ていませんか?

人生においても、あのトラブルがあったからこそ、逆にこんないい展開になった、

みたいなことってありますよね。

 

唐突ですが、僕は大学を二留しています。

二留というのは、2年留年の意味です(笑)

 

二浪ではりません、二留です^^;

 
浪人して必死に勉強していたというなら、全然誇らしいのですが、

大学に入ってロクに勉強もせず、留年を2度も繰り返したのです。

 

 

いやはや、お恥ずかしい限りです。

 

しかし、そのおかげで、僕はいい会社に就職することができました

僕が就職した会社の配属先の部署は技術職で、3年に一度くらいし

大卒採用をしていなかったのです。

(総合職は毎年20人くらい募集しています。)

専門分野での採用なので、なんと会社の方から大学の研究室に良い学生を紹介してほしい、

とオファーが来るのです。

 
二留もしていたら、さすがに大学も推薦しにくいと思うのですが、

採用担当の課長さんが同じ大学のOBだったりした縁で、難なく紹介していただきました。

もし、僕が留年していなければ、この会社の採用のタイミングに当たっておらず、

まったく違う会社に就職したかもしれません。

その後、僕は会社を辞めることになるわけですが、かなりホワイトな企業でしたし、

先輩、上司の方々には11年間も大変良くしていただきました。

 
マイホームを在職中に購入できたのも、この会社の信用でローンを組めたわけで、

2年も留年した甲斐があったというものです(笑)

 

ちょっと話がそれましたが、トラブルがあったからといって、

必ずしも人生にとってマイナスなことばかりではないということです。

むしろ、そのトラブルの回避のため、全力を尽くすことで、思わぬ展開が待っていたりします。

 
この番組の演者は打ち合わせ当初、みな自分勝手でバラバラです。

しかし、ラストシーンで脚立がないというトラブルを、演者、スタッフの組体操で、何とか乗り切ります。

 
カットがかかった時、組体操をしたみんなが、とてもいい表情をしていましたよね。

ひとりひとりがトラブルを通して、人間として成長しているんです

 
トラブルによってアドリブという人間が本来持つ地力が引き出され

人生という物語がより一層面白くなる。

 

僕はそんなことを考えました。

というわけで、かなり長くなりましたけど、このようないろいろな要素を学ぶことのできる

非常にいい映画でした。

 
長くなるので、これ以上書けませんが、もっといろいろな視点があると思います。

私はこういう感じで見ましたという感想があれば、ぜひ返信で送ってくださいね!

それでは、また!